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1歳前後の子どもが食べ物やスプーンをポイポイ投げ捨ててしまうのは、反抗期(イヤイヤ期)が原因ではありません。むしろ子どもの脳の神経回路が発達している証拠なのです。もし子どもに好きなようにやらせたら、一体、スプーン投げを何回続けるのか?その回数を実験したところ、すごい結果になりました!
■スプーンぽいっ、にはイラっとくるものですよね
これは姪のそらちゃんが1歳ごろのお話です。食事のとき、ママ(姉)がそらちゃんにスプーンを持たせようしました。
すると、持たされたスプーンを床にカッシャーンと落として(投げ捨てて)しまったのです。きっと子育て中のかたにとってこの光景は「あるある」ですよね。豆腐が壁一面に広がったというママのお話を聞いたこともあります。
これを見て大人は「ついにイヤイヤ期が始まった!」と思い込んでしまうものですが、必ずしもそうではありません。実は、この行動には子どもの発達の秘密が隠されているのです。
モンテッソーリ教育の用語に敏感期というものがあります。
敏感期とは、「子どもがある動作や興味の対象について「繰り返し味わいたい!」というこだわりを持つ時期」のことです。
よく、子どもが同じ遊びを繰り返し何度もやっていたりしますよね。階段を登って降りる、を何十回も繰り返したり、何かに取り憑かれたかのように一つの動作にはまることがあります。
しかし、大人にとっては、せっかく子どものことを思って作った料理が無駄になるわけですから、「イラッ」とする瞬間でもあります。スプーンならまだしも、食べ物そのものを投げたりしたらなおさらのこと。お行儀面から考えても、カチン!と来てしまうものです。
■ポイ捨てを、逆に続けさせてみた結果
動きを繰り返す、つまり「敏感期」というのは脳(前頭葉)の発達のために必要なことなのです。
「手のひらと指を一生懸命つかって何かを握り、それをぱっと放す」という手の動きは、人間の発達の天才的な部分です。敏感期が本能に組み込まれているなんて人間は素晴らしいと思います。(ちなみに、動物にも「臨界期」と呼ばれる敏感期があるそうです。いのちって、すごいですね)
大人がその動きを止めないことで、「おお!スプーンが落ちた!繰り返したい♩」そんな赤ちゃんの気持ちが尊重されるというメリットもあります。
■余裕があるときだけでも「天才が行う繰り返し」を親子で楽しんでみませんか?
もちろん、日々のいそがしさの中でいつも好き放題繰り返しをさせるというわけにもいきませんよね!モンテッソーリ園では、敏感期に基づく子どもがそのとき発達させたい動作を「お仕事」と呼ばれる教具を用いて存分に繰り返すことができます。
ご家庭でも、余裕があるときは大人も一緒に「天才の繰り返し」を楽しんでみるのもいいかもしれないですね。「うちの子、どんどん天才になってる!」と思って間違いないです。スプーンなど投げてはダメなものを、投げても大丈夫な何かに変えて続けさせるのもいいと思います。
いちばん気をつけたいのは、お行儀面でしつけようとすることです。0〜1歳すぎまでの、脳の回路がつながる大切なこの時期には、お行儀よりもまず「繰り返し優先」で発達をサポートすることのほうが将来のメリットは大きいのです。